店舗付き住宅をデイサービスセンターに                                               今井 俊夫

高槻ライフケア協会の依頼により、JR高槻駅から徒歩3〜4分、 大変便利な場所にある木造二階の店舗つき住宅(元米屋さん)を通所介護施設に改修した例です。
 建物は、1階を事務室及び相談室とし、2階は全て通所介護施設に 使用しています。車椅子でも支障なく利用できるようにするため、 新たにエレベータを設置しました。
 1階は在宅介護及び通所介護事務を機能的に分け、利用者用玄関 をエレベータ乗り場の前に新設し、事務室と通所介護施設利用者の 動線を分離しています。階段は狭く、急で危険だったため、幅を広げ 緩勾配とし、踊場を設けて手摺りを取り付けました。
 2階は元々住宅として使用していました。改修に当たっては、で きるだけ家庭的雰囲気を壊さずに、手すりの設置、階段・通路の確 保をおこなっています。その結果、まるで我が家のような感じが大 好評です。
 以下、建物がどのように使われているか、協会のパンフレットから 一部引用させていただきました。

 2001 年8 月1日より高槻ライフケア協会の通所介護事業 (デイ サービス)が開所しました。定員15 名、現在登録者数12名で 1日平均4名が来所されています。アットホームなデイサービスを 目指しており、利用者の方々の要望を取り入れながら楽しく 過ごしていただいています。
少人数のグループワークの推進
 通所介護事業の機能訓練は洋室、和室の3ヶ所に分かれています。 利用者は、加齢による心身の機能低下、病気や障害にともなう役割の喪失や混乱、孤立し孤独をかかえている中程度の介護度の人が主要な対象です。これらの人たちへの機能訓練及びレクリェー ションは、心身機能維持と生きがいの重視、社会参加の促進という視点に立って、利用者のニーズ、障害の状況を考察しながら、趣味や それまでの生活体験を活用したプログラム内容をもとに4〜6名 単位の小グループ構成でおこないます。小グループ構成は利用者相互の交流促進が図れるという効果があります。機能訓練室の3ヶ所 は、プログラム内容と利用者の心身の状態に応じて使い分けて いきます。

小規模通所介護事業の地域貢献
 高槻ライフケア協会が運営する通所介護事業の地域貢献として、
(1) 小地域の社会資源としての役割の明確化、
(2) 利用者への長時間送迎の在り方の再検討、
(3) 特定非営利活動法人の事業参入がやりやすい、
(4) 既存の他事業所との重度主体と中軽度主体の
   通所介護事業 のネットワーク構築の可能性、
(5) プログラム内容等実践の波及性、があげられます。

 


表通りからみた全景
外観はほとんど変わっていないが、
側面に利用 者用玄関が
新たに設けられた。





2階食堂から洋室を見る
食堂と洋室がつながっているため
いろいろな使 い方ができます。



2階厨房
狭いながらも調理員さんの創意工夫で機能的に 使われています。食事をいただきましたがとて もおいしかったです!


設計者から一言
予算的に制約があり(約500 万円)、工期も限られていたため、スリル満点でした(笑)。設計はなるべくシンプルに、 下地材を仕上げに使い、手すり等雑金物を支給品にするなどコストダウンをはかっています。既存建物の改修のため、行政との打ち合わせにも配慮が必要でした。しかし、制約がかえって無駄や贅沢をそぎ落とした使いやすい 建物になったと思います。 開所後に訪ねたとき、利用者もスタッフも生き生きして動いていたことが印象に残りました。


1階事務室
エレベータ前が利用者エントランス、段差をで きるだけなくしました。事務室はうまくレイア ウトされています。使いやすそう

2階エレベータ前通路
通路幅が広く手すりが
取り付けられています。
奥が食堂です。

2階機能訓練室(洋室)
家庭的な雰囲気の中、楽しそうな訓練風景



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