快居への取り組み                                  小倉 勝彦

多発性脳梗塞の後遺症を介護する妻(6 6 歳) の介護負担の軽減を主目的とした住居改善
−入院中の夫(7 3 歳) の退院は未定で、現在は体調の良い時を選んで週1〜2度、昼間一時帰宅−

■室内での立位歩行はなんとか可能ではあるが、つま ずき、転倒の心配があり、目を離せない。歩行ルートは ほぼ一定しているとのこと、段差解消を図った。また、 階段段板との衝突の危険も感じられたため、伝い歩きの際にできたと思われる壁、柱等の黒ずみ、よごれ等を たよりに手摺り取付け位置を検討・整理し、方向誘導を かねた手摺りの取付けと、段板にクッションを取り付 けたが、この段階では利用の可否が確認できていない。
■排泄の頻度が高く、失敗が多いとのことで、水回り、 特にトイレに工夫がいる。トイレ、洗面、浴室の改造(とまどいを感じない程度の)は当初からの妻の要望であった。
介助のしやすさと失敗時の後始末のしやすさを図った。




合板で型を作りウレタン厚 50,厚30をビニールレザーで被せた段板クッション



横手摺りの状態



跳ね上げて縦手摺りに


グレーチングの設置により床洗いを可能に 介助スペース確保のためワンルーム化を図る

1.トイレのワンルーム化と便器のレイアウトの変更。手摺りの取付け
2.出入口扉の拡幅
3.段差解消と水洗い可能な床の設置
4.予洗い可能な大型手洗い器(マルチシンク)の取付け
5.温水シャワーと暖房機器の取付け 等を検討する。
利用できている小便器はぜひ残して欲しいとの要望に従い、
介助スペー スが 若干窮屈ではあるが、将来(車椅子対応時)は
取り外すことにして、 センサー付きの小便器を設置する。


■後日確認(奥さんからの聞き取り)
1.手摺りは使えていない。・・・・手摺りを使って歩く習慣がない。(入院中の病院にも手摺りがない)
2.階段段板のカバーと段差解消は有効であった。
3.トイレの改造は後始末が大変楽になり、役に立っている。
4.小便器と大型手洗い器(マルチシンク)に戸惑いが見られる。
■設計者のひとこと
ご主人とのシミュレーションが出来ていないため、今後の時間経過に沿ったフォローアップが必要と感じている。



事務局からのお知らせ

福祉・医療領域と連携した私たちの仕事

□ 住居改善相談、設計、監理

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快居の会


快居の会メンバー

明石 友宏(双葉都市設計工房)
小倉 勝彦(アトリエVOID)
馬場 健一(馬場健一建築研究所)
松村 優(創造福祉空間研究所)

今井 俊夫(今井環境建築事務所)
川上 昌宏(デビックス建築設計事務所)
馬場 昌子(関西大学工学部建築学科)
村山 みのり(生活科学ジャパン)

上田 猛(上田猛建築事務所)
佐藤 和子(佐藤建築事務所)
福田 由利(アトリエ・ドゥ・フクダ)
山口 敏充(山口計画事務所)

 


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