■ 快居への取り組み〜楽しみのある暮らしを目指して〜                           川上 昌宏 

高齢で車椅子使用の男性が、自立した暮らしを目指す住宅。当初は、改修を前提に計画をスタ−トしま
した。改善プランを提案し、煮詰めの段階で、思案を重ねた家族の希望により建替えに変わった事例です。


 

対象者の状況
対象者 男性60 歳代
家族構成 単身
住居形態 持家戸建
病  歴 脳出血による右片マヒ
介護状況 現在は、老健施設に入所
リハビリ訓練中
(歩行訓練)
日常生活動作 車椅子使用で自立移動可
食事・排泄もできる。
関わった職種等 理学療法士、建築設計者
家族 (長女:近所で居住・既婚)
( 次男:車で1 時間・既婚)
 

 
(1) アプロ−チのポイント
   −外出手段の確保

デイサ−ビスの送迎をシュミ
レ−ションした。スロープで
停車するため、車輌に傾斜が
発生する。乗り降りの安全を
確認する必要があった。
結果は、リフト付き送迎車で
あったため、無難に乗り降り
することができた。奥は、
一般の駐車スペ−スを確保
している。



(2) 玄関のポイント
   スムーズな移動を計画
玄関床からデッキまでフラット
なレベルが特徴。下足箱横に
誰でも使えるベンチと縦手すり
を設けた。
(3) 浴室のポイント−入浴介助の軽減 (4) DKのポイント −オール電化
 家族の希望により、リフト付UB を導入し
た。介助の負担を軽くし、安全で楽に入浴で
きるように、本人・PT・設計者により、動作
を確認し、脱衣室には必要な手すりを設けた。
 主にサービス用のキッチンとして利用。温熱環境の改善と安全性を考慮し、床暖房・I Hコンロをとりいれた。その他の備えとして、玄関扉の電気錠、動作を楽にする電動カーテン、電動シャッター付きのサッシを設置。
    
(6) 寝室のポイント
     本人・家族・PT・設計者で打合せ


   (5) デッキのポイント 
      借景を楽しめる仕掛け
本人の動作を考慮した結果、ベッドの向き、トイレの位置など決定された。便器を隠す電動カーテンを設置。インターホンのTVモニター・電動シャッターのスイッチ類を枕元に取りつけた。 ベッドからも外が良く見え、気もちが良い。 室内から屋根のあるデッキに、車椅子のまま出ると、屋外空間を楽しめる。隣人との交流・趣味の園芸など、多目的に使える。防寒・雨風対策のため、透明な横引き折れ戸を使用し閉めた時も明るさを確保する。
   


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