特定非営利活動法人 福祉医療建築の連携による住居改善研究会 住居改善実践事業部   No.14 2007. 5.25


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14号記事

■ エジプト報告
■ 快居への取り組み〜〜重度心身障害者のナイト
   ケアの場づくり〜
■ シリーズ住宅改修に利用できる公的制度につい
   て(Part 3)

■ エジプト報告           馬場 昌子     
 ひょんなことからエジプトに出かけてきました。事の起こりは知的障害者のための作業所建設に伴うバリアフリー策についての相談でした。
ご承知のように、知的障害者とひとくくりにしてしまいがちです が、そんなに便利な建設マニュアルがあるわけではありません。利用者の多様なニーズを知ってアドバイスをするために、 じっくり利用状況を観察する必要があります。そこで、当快居の会が実施している出前型無料相談活動を気軽にご利用下さいという、関西の何処かなのだろうと想定しながらの応答でし た。ところが、その方が言いよどんでおられるので、少し遠いのかなと思い、四国あたりに出かけた経験が あるので、海を渡るのも平気ですよと軽いノリで、 相談者が話しやすい雰囲気を作るつもりで言ったのです。  すると、なんと相談先は地球の裏側、エジプトでした。出かけることにしました、JICA と関西大学から支援を受けて。
 事前に日本における作業所の歴史と作業所計画のための建築的留意事項、及び現地での聞き取りのための シートについての英語版資料作り、現地では、4 台のビデオカメラを設置しての観察、4 箇所の作業所への訪問聞き取り調査、作業所建設を企画している方との話し合いを行ってきました。
 4施設の踏査と相談者とのやり取り( 通訳を介したものだったので、通じているのかいないのやら) からの今回の感想的結論です。
 1 社会保障の仕組みがまったく日本とは異なることは言うまでもないことですが、それにしてもその整 備は立ち遅れています。
 2 バリアフリーに関する相談ということだったのですが、その概念すら相談者はもちあわせていないと言い切っても良い状況です。
 3 日本で言う”作業所”というよりも施設長の自由な発想で障害者を預かっているという現状に見受けられます。
かの国では、いまだ障害者が社会の中に受け入れられずひっそりと暮らしておられ、そんな中で一部の熱 意ある人が手探りで動き始めた段階に見えました。支援するということを考えさせられた今回のエジプト行きでした。
  


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