■ 快居への取り組み〜 Y君のためのバリアフリー改造                   佐藤和子 明石友宏    
■相談内容
 Hさんの長男Y君が進行性の難病「筋ジストロフィー」とのこと。相談内容は、今までは何とか 世話してきたけれど、本人がだんだん立位姿勢を保持できなくなってきていること、更に急成長する 年頃とあっておんぶするのも大変になってくるだろうから、車椅子など必要な福祉機器を取り入れた 住宅改造をしたいということでした。

■住宅の現状
 Hさん宅は木造二階建てですが、子供達(当時9 歳と2 歳)がまだ小さく、生活のほとんどが 一階で行われていました。トイレもお風呂も平均的な広さで造られてはいたのですが、 日常のすべてに介助が必要で、今のままでは何をするのにもおんぶに抱っこという状態でした。

■改造案
 Y君が家の中でも車椅子やいろいろな福祉用具を使いやすいように、設備や通路部分を 見直しました。特にクランク型をした廊下は、部屋から部屋への車椅子移動を妨げています。そこで、現在外で 使っている自走車イスや将来の電動車イス利用も考えて部屋と廊下の間仕切りを見直し、 車椅子移動を簡単にすることにしました。
 外出は、直接カーポートに出て車に乗り込めるように、台所横の勝手口に段差昇降リフトを設けました。 子供部屋からスムースに外出できるようにと、廊下の形状やドアの位置も変えています。また、 テラスを広げ、Y君が車椅子で室内外をぐるぐる回って遊べるように工夫しました。居間から出て、 台所横を通り新設する段差昇降機経由で、勝手口から台所・居間へと戻ることができます。
 トイレとお風呂はともに重労働な介護が必要な所です。トイレは子供部屋に新設し、起きてすぐに 使えるようにしました。また、車イスでは狭くて入れない既存のトイレは、入浴前後に シャワーキャリーごと用が足せるように段差を縮小しました。お風呂は既存の脱衣室と浴室だけでは狭かったので、 Y君が通らなくなった玄関を削ったり、洗濯機置き場を少しの増築により確保するなどして脱衣の スペースを広げています。また、おんぶによる介助を楽にするために、脱衣室と浴室間には 天井走行リフトを設けました。

  改造前
改造前

トイレ
狭い廊下と段差のため、やはりおんぶで便器まで運ぶ

玄関
玄関土間での車イスの乗り換え

浴室

洗面での着替えは狭くてできないので台所で脱いでおんぶで浴室まで運ぶ


次のページへ(3/4)

快居のページへ